BtoB企業における、社外CMO・マーケティングマネージャーという選択肢

『プロダクトには自信があるんだけど、マーケが弱くて・・』

そんなご相談をいただき、いくつかのBtoBベンチャー・スタートアップの社外CMO・マーケティングマネージャー的な立ち位置をさせてもらっている。

やりながら気づいたのは、社内にノウハウがない時の解決策として、社外CFOや社外CTO/技術顧問はよく聞くけど、「社外CMO」ってあまり聞いたことがない(ちょうど先日、「資生堂から独立 CMOのシェアリングサービス開始」といったニュースが出ていたけど)。しかしながら、この役割は事業を伸ばすために有効だと思ったので、専門領域であるBtoBに絞って、「なぜ、社外CMO・マーケティングマネージャーが必要なのか」を書いてみた。

マーケティングリソースを割けないBtoB企業

BtoBのベンチャー・スタートアップ企業でマーケティングリソースが豊富なことはほとんどない。多くの企業は、開発か営業の人員を手厚く採用するので、マーケティングは営業が兼務していたり、社内の何でも屋さん的な人が広報を含めやっているケースが多い。

結果として、顧客開拓の施策はテレアポとリスティング広告と年に数回の展示会のみ。メディアでよく見かけるMA(Marketing Automation)やコンテンツマーケティングに取り組もうとしても、リソースが足りず、運用に乗らない。とかがよくあるパターン。

一方、顧客の情報行動・購買行動は明らかに変化している

そんな企業側の都合とは関係なく、Corporate Executive Boardの「BtoB市場において、顧客は業者と初めて接触する時点で、購買プロセスの57%を既に終えている」などの調査を持ち出すまでもなく、いまや情報行動・購買行動の主導権は顧客が握っている。

マーケティングの世界では、“Self-Educating Buyers”なんて言うけど、今の時代、顧客自らが、PCやスマホで情報を調べたり、信頼できる第三者におすすめを聞いたりして、どの製品・サービスを導入するかを決めている。営業や社内の何でも屋さん的な人が、片手間にマーケティング業務をしている企業の製品・サービスは、当然、顧客の検討プロセスに入りづらく、機会損失は避けられない。

提供されるサービスのドーナツ化現象

そこで、「マーケターを採用しよう!」、「外注パートナーを探そう!」と思っても、次なる障壁が登場する。

転職市場を見たときに、そもそもBtoBマーケティングの経験者が少ないし、ほとんどのマーケターはtoCのサービスに行きがち。クックパッドやコカ・コーラ、ディズニーのマーケをやりたい人はたくさんいても、勤怠管理システムや給与計算ソフトのマーケをやりたい人は少ないだろう(個人的には、断然、後者をやりたいけどw)。

また、外部の業者に発注しようにも、世の中に流通している製品・サービスはこんな状態になっている。

勝手に「提供されるサービスのドーナツ化現象」と呼んでるけど、広告代理店から調査会社、SEOやコンテンツマーケ業者、MAや解析系のツールベンダーなど、ドーナツの外側を提供してくれる会社は世の中にたくさんある。

しかしながら、お菓子のドーナツと違って、ビジネスの世界では真ん中も大切。ドーナツの真ん中にいて、戦略立案から社内の体制作り、ベンダー選定、日々のPDCA推進まで、パワフルに実行できる存在がいるかどうかで出せる成果は大きく変わる。そんな人材がプロジェクト内にいれば、高度化・多様化するサービスやツールのポテンシャルを引き出しながら、成果を最大化できるだろう。

マーケティング活動におけるすべての役割を社外の人がやれるとは思わないけど、社外CFO、社外CTO的に、一部の役割を外部に求めることはできるし、外部の優秀な人材にアクセスしやすくなっている現代、一つの有効な選択肢だと思う。

そして、冒頭に『プロダクトには自信があるんだけど、マーケが弱くて・・』と書いたけど、世の中にはすごい製品・サービスがたくさんあって、それらを作っている人たちとの仕事は、脳に刺激をもらえて楽しい。社外CMO・マーケティングマネージャーとして活動する側としても、自分が良いと思う製品・サービスを拡めながら、楽しく仕事がしたいニーズは結構あると思うので、今後、一般的な役割になるんじゃないかと予想している。

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不幸せにはならない職場

いま会社で採用を進めていて、人生の5~10%を投下してもらうわけなので、責任重大というか、できる限り最高の環境を作りたいなーといろいろと考えていたのだけど、良い環境や職場って、出現確率がとても低いし、定義が人それぞれで、目標として捉え所がないなーと悩んでいた。

そんな時、ナシーム・ニコラス・タレブの『ブラック・スワンの箴言』を読んでいて、こんな一節に出会った。

幸せについて:私たちは何が幸せかわからないし、どうやって幸せを測ればいいかわからないし、どうすれば幸せに手が届くかもわからない。でも私たちは、どうすれば不幸せを避けられるかとてもよく知っている。

たしかに、自分自身も幸せかどうかはわからないしw、どうすればもっと幸せになるのかもわからないけど、不幸せでないことは確か。
自分の周りも、心から幸せそうな人も珍しいけどw、不幸そうな人もほとんどいなくて、みんなそれぞれにやりくりしながら、前に進んでるなぁーという印象。タレブが言うように、幸せを目指すことは難しいけど、不幸せを避けることは簡単かもしれない。

翻って、経営者として、最高の環境・幸せな職場を作ろうとする前に、最低限、不幸せにしないことが大切そうで、それはいますぐに実行できるのではと思った。

そこで、『私たちは、どうすれば不幸せを避けられるかとてもよく知っている。』前提に立ち、自分がいまどこかの会社に転職するという仮定で、こんな基準で職場を選べば不幸せを避けられそうだな、という点をまとめてみた。

1.仕事に意義を見いだせるか

目的や意味を感じられれば、毎日、前向きに出社できる。一方、仕事に意義を見い出せないのであれば、速攻で疲弊しそうw

2.生活がカツカツにならない給与が出るか

旅行に行ける、飲み会に行ける、適度に買い物ができる、将来への貯蓄ができる。最低限そこは死守したい。

3.長期間、長時間働くことがないか

短期間、長時間働くのは文化祭みたいで楽しいけど、長期間、長時間働くとQOLが下がってしまう。遊びにも行きづらく、家族・友人関係にも悪影響が出るだろう。バランスの良い労働時間で、オプショナルに長時間働くことを選べるのが最高。

4.休みたい時に休みが取れるか

友だちに旅行に誘われた、親友の結婚式、年に1度の結婚記念日(結婚してないけど)。そんな時に、スムーズに休みが取れないとストレスが溜まりそう。

5.社内コミュニケーションが多いか

喋る量が少ないと、ウサギじゃなくても、普通に寂しくなる。職場の仲間同士、適切にコミュニケーションが交わされている会社や部署を選びたい。

6.怒鳴る、ツメる文化ではないか

極度のM気質でない限り、怒鳴られたり、ツメられたりして楽しい人はいない。人間、常に完璧にはいられないから、なるべく穏やかな人たちに囲まれていたい。

7.事業が右肩上がりか

停滞している事業はチーム内の雰囲気が暗くなりがち。多少忙しくても、右肩上がりの場所に身を置いた方が前向きに過ごせるだろう。

8.満員電車に長時間揺られなくても通えるか

トータル2年ぐらい、満員電車で1時間弱の通勤をしたことがあったけど、あれは普通にキツかった。。

並べて見てみると、これら(たった8個!)が守られていれば、心から幸せになれるかはわからないけど、まぁ楽しくはやっていけそう。逆に、これらが守られてないと長くは続かないのかもしれない。

書きながら、「最低限不幸せにしない × 自分たち独自の楽しい状態を作れるように試行錯誤する」が、最高の職場を作るカギな気がしたので、「最低限不幸せにしない」を死守しながら、いろいろ僕ららしい打ち手も考えていきたい。

悪いこと言わないから、リニューアルなんて始めるべきではありません

マーケティング支援をしていると時々「Webサイトをリニューアルしたいんですが、どうすれば良いですか?」という相談をもらう。

ほとんどの場合、「リニューアルしない方が良さそうですね」と回答していたけど、最近、その理由が整理できたので書いてみる。 “悪いこと言わないから、リニューアルなんて始めるべきではありません” の続きを読む

君に営業資料はいらない

世の中の営業資料ほど、読んでてつまらない読み物、聞いててつまらないプレゼンはない。売上が○○億円で、従業員数が○○人いて、お陰様で設立○年の会社です。こんな事業を展開していて、うんぬんかんぬん。

これを説明していて、楽しいと思ってる人はどれくらいいるのだろうか? これを聞いていて、わくわくする人はどれくらいいるのだろうか? 十中八九、いや、十中九十の聴き手は「なるほど、なるほど。いいですね。」と言いながら、心の中では「早く終わらないかなー。」とつぶやいている。それなのに、日本ではこの瞬間も、1分あたり50個の営業資料が作られている(※1)。

例えば、『ブラック・スワン』や『反脆弱性』を書いたナシーム・ニコラス・タレブの本。大半の本が前半でコアなコンセプトを説明しきってしまい、後半は急激に眠くなっていくのに対して、彼の本はすべての章を部(ブック)と呼んでいるくらい、最後の最後まで飽きることがない。どの章を切り取っても、それぞれが最高に面白い。そんな、すべてのスライドが面白い営業資料は作れないだろうか?

例えば、村上春樹の小説。『1Q84』なんか特に、ここで終わるわけないよね?絶対、続編出るよね?!と思う終わり方をしながら、決して、続編は出ない。そんな、オーディエンスの気持ちを盛り上げるだけ盛り上げて、何も結論は示されない(けど、気になっちゃう)営業資料は作れないだろうか?

例えば、2006年の山本KID 対 宮田和幸の試合。間合いの測り合いやジャブで牽制し合うプロセスをすっ飛ばして、いきなり飛び膝蹴りでKOしちゃう。そんな、表紙もなく、一枚目からキラースライドを載せて、お客さんの心をノックアウトしてしまう営業資料を作れないだろうか?

ロジカル・プレゼンテーション』の影響なのか、ベンチャーキャピタリストがブログで公開している模範的な事業計画書の影響なのかわからないが、世の中には体裁だけ整えた、退屈な資料が溢れている。

そもそも、マーケティングはOne to Oneこそが最高なはず。体裁を整え、全員に同じことを伝えようとするマス的発想の営業資料は、One to Oneの思想からは程遠い。説明してて楽しく、お客さんが聞いてて面白く、そこから本当のコミュニケーションが生まれる。そんな営業資料を作れたら、営業は黙っててもアポに行って、案件を取ってきてくれるはず。自分たちのことを表現するスライドを作っていて、お客さんのセールスストーリー作りを支援していて、そんなことを思った。

※1:適当な数値だけど、もっと多かったりして(笑)