事業における課題解決と数独パズル


一時期、読みたい本も観たい映画もなくなって、土日が暇で暇で仕方なく数独にハマった時期があった。

最初はソシャゲをインストールする感覚で数独雑誌を購入したのだけど、帰省中に親と一言も話さずに朝から晩まで数独をする、などの集中的鍛錬を経て、事業における課題解決の多くの部分を数独から学ぶことになった。

事業や組織を運営していると日々、次から次へとたくさんの課題が出てくる。みんなで苦労して課題を解決して『やった!ついに攻略した!!』とガッツポーズをした次の日には、新しい課題が舞い降りてきて、終わりのない問題集を解いているような気持ちにさせられる。

以前は仮説が外れて施策がコケた、KPIが達成できない、などの課題に直面すると『くぅー!なんでだ・・・』と誰かのせいにしたり、自分を責めてしまっていた。そんなある日、次から次へと現れる課題を眺めながら『これ、なんか数独っぽいな』と思ってから、課題解決の質とスピードに大きなブレークスルーがあった。

イメージとして、9×9の正方形を事業全体、緑で囲った列をその時に向き合っている課題に見立てる。この列を埋める(=解決する)には、あと5つのピースが必要。埋めるピースとして下記1~9のような解決策を思い浮かべ、列が埋まるまでシミュレーションを繰り返していく。

  1. 目標を変える
  2. 役割を変える
  3. リソースを増やす
  4. ボトルネックを取り除く
  5. コミュニケーションの量を増やす
  6. コミュニケーションの内容を変える
  7. 接し方を変える
  8. 知識を加える
  9. 経験を加える

現実世界も数独も1つの解決策だけで列は埋まらないし、他の列の他のピースが埋まってからでないと先に進めない時もある。その前提で埋められるピースから一個一個、埋めていく。すると、いくつかのピースが連続して埋まったり、予期せぬ列が先に埋まったりしながら、ついには狙った列が完成(=課題解決)する。このイメージを持つと純粋に課題解決に向き合え、列が埋まっていくのを楽しみながら物事を進められるようになる。

さらに数独から学んだ大切な教訓は、問題は解けそうなところから解けそうな順番で解いていくべきだし、逆にいまは絶対に解けない問題と解けないアプローチが明確に存在する、ということ。

先日、知り合いの上場企業の共同創業者が『スタートアップとは問題解決である。問題を解決するから急成長できる』と言っていたけど、外からはウルトラCに思えるサービスや業績でも、組織の中では1~9のような解決策を着々と当てはめ続けた結果なのだろう。

事業も数独も、解けそうなところから適切な順番で解決策を試していくと(ときには問題から距離を置いたりしながら)、最初はほとんど見えなかった完成への道筋が徐々に明らかになって、後半はもう明らかにこれとこれだよね、ってところまで像が立ち上がっていく。

事業によって列の性質や難易度は違うけど、本質的には数独のように大量の試行を重ねながら、それぞれの例(ユーザの列、チームコミュニケーションの列、セールスの列、etc)をいかに手際よく最適化させられるかが問われている気がする。その意味で「経営はスピード」なのだと理解している。

もちろん現実世界の事業では9個の数字だけでなく、もっとダイナミックでたくさんの解決策が存在する。けれど、見通せないほどの数ではないし、汎用的に筋の良いアプローチもいくつか存在している(コミュニケーションを取る、とか、相手を信頼する、とか、人の話に耳を傾ける、とか本当に大事)。

そして、事業の課題は解けば解くほど、現実世界は変わっていく。事業における課題解決に取り組んでいる人たちは自らを青天井にレベルアップさせながら、社会や人類に貢献できる喜びを得られる、とても幸せなゲームのプレーヤーなのだろう。