君に営業資料はいらない


世の中の営業資料ほど、読んでてつまらない読み物、聞いててつまらないプレゼンはない。売上が○○億円で、従業員数が○○人いて、お陰様で設立○年の会社です。こんな事業を展開していて、うんぬんかんぬん。

これを説明していて、楽しいと思ってる人はどれくらいいるのだろうか? これを聞いていて、わくわくする人はどれくらいいるのだろうか? 十中八九、いや、十中九十の聴き手は「なるほど、なるほど。いいですね。」と言いながら、心の中では「早く終わらないかなー。」とつぶやいている。それなのに、日本ではこの瞬間も、1分あたり50個の営業資料が作られている(※1)。

例えば、『ブラック・スワン』や『反脆弱性』を書いたナシーム・ニコラス・タレブの本。大半の本が前半でコアなコンセプトを説明しきってしまい、後半は急激に眠くなっていくのに対して、彼の本はすべての章を部(ブック)と呼んでいるくらい、最後の最後まで飽きることがない。どの章を切り取っても、それぞれが最高に面白い。そんな、すべてのスライドが面白い営業資料は作れないだろうか?

例えば、村上春樹の小説。『1Q84』なんか特に、ここで終わるわけないよね?絶対、続編出るよね?!と思う終わり方をしながら、決して、続編は出ない。そんな、オーディエンスの気持ちを盛り上げるだけ盛り上げて、何も結論は示されない(けど、気になっちゃう)営業資料は作れないだろうか?

例えば、2006年の山本KID 対 宮田和幸の試合。間合いの測り合いやジャブで牽制し合うプロセスをすっ飛ばして、いきなり飛び膝蹴りでKOしちゃう。そんな、表紙もなく、一枚目からキラースライドを載せて、お客さんの心をノックアウトしてしまう営業資料を作れないだろうか?

ロジカル・プレゼンテーション』の影響なのか、ベンチャーキャピタリストがブログで公開している模範的な事業計画書の影響なのかわからないが、世の中には体裁だけ整えた、退屈な資料が溢れている。

そもそも、マーケティングはOne to Oneこそが最高なはず。体裁を整え、全員に同じことを伝えようとするマス的発想の営業資料は、One to Oneの思想からは程遠い。説明してて楽しく、お客さんが聞いてて面白く、そこから本当のコミュニケーションが生まれる。そんな営業資料を作れたら、営業は黙っててもアポに行って、案件を取ってきてくれるはず。自分たちのことを表現するスライドを作っていて、お客さんのセールスストーリー作りを支援していて、そんなことを思った。

※1:適当な数値だけど、もっと多かったりして(笑)