Webサイトから見えてくる経営課題


先日、あるVCの人から、『投資先で採用ページがイケてない会社は経営が上手くいってないことが多いんですよねー』という話を聞いた。

自分もBtoBマーケティングを支援している中で「Webサイトがイケてる会社は業績が良いなー」という傾向を感じていた。今回は、その傾向が生まれる理由を考えてみた。

伸びる会社・ダメな会社を見分ける『スリッパの法則

まず思い出したのが、日本有数の投資信託・ひふみ投信を運用する藤野さんが出版された『スリッパの法則』。

藤野さんは「社内でスリッパに履き替える会社に投資しても儲からない」という通称・スリッパの法則を提唱している。スリッパに履き替える会社に訪問すると、悪しき家族主義や閉鎖的な会社である可能性を考えるらしい。

それ以外にも

・晴れの日に傘立てに傘がたくさん刺さっている
・会議室の時計が5分以上ズレている
・コピー機の周りやトイレが汚い

などは社員の当事者意識が欠如している可能性だと考え、投資判断に活かしているという。

Webサイトから読み取れる社内の状態

スリッパと同様に、企業のWebサイトからも様々なことが読み取れる。

例えば、Webサイトのサービス説明がわかりづらい場合、以下のようなことが起きている可能性がある。

  • Web担当者が顧客のことを理解していない
  • Web担当者と営業がコミュニケーションを取れていない
  • 社長が営業やWeb担当者とコミュニケーションを取れていない
  • 社長がサービスを上手く説明できていない
  • そもそも、社長がサービスに自信を持てていない

Webサイトがわかりづらいと「ディレクターやデザイナーのスキルが低い」などが原因にされやすいけど、ほとんどの場合、根本には別の課題が潜んでいる。

システム思考の本で紹介される『氷山モデル』はこの考え方の参考になるだろう。

氷山モデルは、表出している「できごと」から、中長期的な傾向である「パターン」が見え、その背景にはパターンを生む「構造」があり、その下に意識・無意識の前提である「認知」がある、とする考え方。

Webサイトで置き換えると、サービス説明や代表メッセージ、導入事例などは「できごと」に当てはまる。また、ソースコードも表出している「できごと」のひとつだろう。

Webサイトの課題から経営の根幹に切り込む

この前提に立つと、「Webサイトのサービス説明がわかりづらい」という課題に対しては、氷山の下にある「社長がサービスを上手く説明できていない」、「社長がサービスに自信を持てていない」などの課題から解決できた方が良い。

スリッパを片付けても、悪しき家族主義や閉鎖的な社風は改善しないように、Webサイトを表面的に変えても、根本にある課題は残り続けるからだ。

逆に、「社長がサービスに自信を持てていない」ことを解決できれば、Webサイトは自然と良くなっていく。

  • 社長がサービスに自信を持っていると起きること
  • 社長がより多くの顧客に売りたくなる
  • たくさんの見込み顧客にサービスを語る
  • その過程でセールストークがブラッシュされる
  • それが営業やWeb担当者に伝わる
  • Webサイトのサービス説明がわかりやすくなる

このアプローチの素晴らしいところは、社長のサービスに対する自信が社員に伝播して、営業現場のクロージング力が上がったり、採用現場で会社を魅力的に語れるようになる、などの波及効果が期待できること。短期的には気が進まない問題に向き合うけど、中長期的には経営のスピードは加速度的に上がっていくだろう。

このアプローチで考える時はいつも、マザー・テレサの名言を思い出さずにはいられない。

思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。

言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。

行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。

習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。

性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。

マザー・テレサが経営コンサルタントだったら、「思考」レベルの問題に切り込んでくるだろうから、サイルでもより根本的な問題解決をサポートしていきたい。

※執筆協力してくれた村上一歩に感謝します。